油汚れは水で洗ってもなかなか落ちないものです。これは水と油の関係を思い出していただくとよくわかります。水と油は交じり合わないので、油性の汚れは水で洗い流そうとしてもなかなか溶けだしません。逆に油性の溶剤を使用すればおなじ油性の汚れはすぐに溶けだし、きれいに落ちるというわけです。
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では油性と水性の両方の特徴を持つ汚れの場合はどうしたらいいのでしょうか。その場合はまず最初に油性の汚れを落とし、続いて水性の汚れに取りかかります。先に水で洗うと油汚れと水がくっついて余計に落としにくくなります。 |
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まずはいらない布切れ2枚用意します。汚れた部分の下に乾いた布切れを引き、残り1枚にシンナーもしくは、洗剤とクリームクレンザーを混ぜたものなどをしみ込ませます。それを汚れの上に当てて、上から叩いて、上下の布に汚れを溶かし移していきます。上下の布を汚れていない部分へ移動させながら、何回か繰り返します。綺麗になったところで最後に水ですすいで終わりです。少し汚れが残った場合は、洗剤を溶かしたぬるま湯でつまみ洗いするといいです。
なお合成繊維を使用した衣類などではこの方法だと、色褪せたり生地が痛んだりするかもしれません。心配な方はクリーニングを利用するのが無難でしょう。また使用する溶剤類も安いものだとやはり生地も痛みやすいようです。ベンジンは揮発性の高いものがよいそうです。
エタノールとは水にも油にもとける物質で、身近なとこだとお酒やみりんの主成分としても有名です。エタノールには乳化作用と呼ばれる働きがあって、水と油の間に立って両者を結び付けてくれます。引火性が高いので火のもとには十分注意してください。
みかんの皮にはリモネンと呼ばれる天然油が含まれています。リモネンの働きにより油性マジックの汚れなどが溶けだし、きれいに落とすことが出来ます。リモネンは洗剤などでも使用されています。
またリモネンは分子構造が発泡スチロールと非常によく似ており、発泡スチロールを溶かす働きがあります。これは分子構造が似たもの同士は互いに溶けだしやすいという特徴があるためです。
汚れ落しは時間が経過しないうちにしましょう。時間がたてば素材への結びつきもつよくなるので、それだけ強い洗剤が必要になります。そうなると当然素材自体への影響(傷みや脱色など)も大きくなります。
シンナー、除光液、ベンジンなどの有機溶剤、アルコール、弱アルカリ洗剤とクリームクレンザーを混ぜたもの(素材や塗料の落ちが心配な場合)など
窓ガラス、衣類(脱色、傷みの恐れあり)家具(もとの素材が痛んだり、塗料やコーティングされてるつやだし剤が落ちる恐れがあります。)、ビニールクロス(シンナーやベンジンなどの有機溶剤は素材が溶けてしまうことがあるので注意)など
マジック、ファンデーション、口紅など
シンナーや除光液などのような素材を傷めてしまう危険性のあるものは、目立たない部分に少量つけて確かめて見ます。もし痛みや脱色が出るようなら使用をやめ、中性洗剤やクリームクレンザー、もしくはそれを水で薄めたものなどに切り替えてください。試すこと自体、ためらわれる場合は有機溶剤の使用は避け、中性洗剤などを使用しましょう。
シンナーなどで手あれが心配な方は、ゴム手袋をつけてから作業して下さい。
作業をするときは窓を開けて換気に気をつけてください。
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